研究テーマ・メンバー | 名古屋大学情報学研究科 心理学講座 唐沢研究室

研究テーマ・メンバー

名古屋大学情報学研究科 心理学講座
唐沢研究室について

私たちのゼミでは、広い意味での「社会的認知」を研究の中心テーマとしています。
社会的認知というのは社会心理学の中の一領域で、人間がどのようにして、周囲の人々や所属集団、自分の住んでいる世界などについて意味を見出し、理解を形成しているのかを明らかにすることを主な目的としています。

人は社会のできごとや他の人々に関する情報について分類(カテゴリー化)を行ない、記憶し、推論を働かせ、判断を行なうなど、さまざまな情報処理を行っていますが、そうした認知過程の仕組みを明らかにしようというのです。
人間が、他の人々について、ともすると誤った考えや信念を持つことがある原因はどこにあるのか、また何が正しく善であるのかをどのようにして判断しているのかを明らかにすることによって、幸福で公正な社会を実現するために必要な、他者や世界に関する理解を育てることに貢献することを目指しています。

現在、私たちが特に力を入れて研究している具体的なテーマについて、以下に詳しく説明しましょう。

研究テーマ

偏見と分断の原因を探り共生と受容をめざす

集団間関係
政治心理学

世の中を「うち」と「そと」に二分して、自分たちが立つ側の正当性を主張し、相手側を非難するという動きが世界中に広がり、その危険性が指摘されています。実は、こうした集団間の対立や分断は、現代社会に限られたことではなく、長い人類の歴史の中で、かたちを変えて繰り返されてきた問題であると言えます。私たちは、集団間に生じる偏見や対立の基礎にある心理過程のはたらきを明らかにするための研究を進めています。

研究テーマは多岐に渡りますが、集団によって人を区別する際に行われる情報の処理や記憶・判断などの認知過程と、それに影響を与える感情や動機づけの役割、そして分断を維持・加速させるようなコミュニケーションのはたらきを、主に調べています。

これらの研究で明らかになった心理的メカニズムを手がかりに、以下にあげるような現実の社会的問題の本質に迫ることを目指しています。

  1.   異なる文化を持つ人々と接する際に起こる排斥と受容
  2.   愛国心やナショナリズムと国際性
  3.   少数者に対する偏見の解消と共生
  4.   イデオロギーに基づく対立

関連する研究助成:2018〜2021年度 科学研究費(基盤研究(B)) 社会の分断をあおるコミュニケーションの発生・伝搬・共有過程

「善いこと」「悪いこと」の認知とは?

道徳心理学
心理学と法

偏見や分断、そして社会的排斥といった現象は、私たちの道徳意識とも深く関わっています。偏見をもって人に接するのは「間違った」ことであり、格差や差別のない社会が「公正」であるという考えは、多くの人々に共通しているはずです。にもかかわらず、これらの問題を解決するのが難しいのは、なぜでしょう?私たち人間の本性が、不公正あるいは不道徳にできているためでしょうか?

むしろ動機としては、「誤った考え」をもった人々を排除し、自分たちの社会を「正しい」方向へ守り導きたいという、ある種の正義感や道徳意識が、分断や排斥の原動力になっていると考えられるケースが、あちらこちらに見受けられます。そして人間は多くの場合、深く考え込むことをしなくても、善悪の判断を直観で行なえていることを、この分野の研究が次々に明らかにしています。私たちの研究室でも、このような直観的判断の性質について研究しています。特に注目しているのは、「望ましくない人物を見つけ出して社会から取り除く」という動機から、非難したり罰したりしたくなる過程です。

研究対象となる道徳意識の内容は、「他人の権利を犯してはならない」「約束は守らなくてはならない」といった、法や規則にも明示されるようなものから、「正しい働き方と何か」といった多様な価値観と関連しそうなものに至るまで、さまざまです。また、「責任」「意図」「権利」「義務」といった概念に関する、法や思想の世界における専門的理解と、私たち人間の直観的理解との間では、何が異なり、何が共通しているのかについても調べています。

関連する研究助成:2019〜2021年度 科学研究費(挑戦的研究(萌芽))勤勉に関する日本的倫理観とその心理的基礎:認知的・動機的・文化的諸過程の解明

心と文化の相互関係―その謎を解く

文化心理学
コミュニケーションと文化

社会的認知を成立させる心理過程は、たった一人の心の中で起こるものだけとは限りません。個人のレベルで行われる情報処理過程だけで完結するのではなく、むしろ多くの人々と共有された認知的活動という性質を持っているのです。

「文化」もまた、社会的に共有された認知が、大規模に、また時間の軸を超えて継承されたものと考えることができます。さらに、認知の共有と再生産には、そして文化の継承には、コミュニケーションが重要な働きをしています。言語の役割などは、その中でも最も注目に値するものです。 言語は、私たちの認知の内容を表現するだけでなく、認知そのものを方向づける作用をもつからです。

私たちの研究室では、コミュニケーションを介したアイデンティティーの形成や偏見の伝搬と共有、ソーシャル・ネットワークを介した分断と排斥の加速、他者の心理状態を推論する過程についての文化的特徴、道徳判断の文化的基盤、などについて研究を行っています。その多くは、世界各地の研究者とたちとのネットワークをもとにした、国際共同研究プロジェクトとして進められています。

関連する研究助成:2019〜2023年度 科学研究費・国際共同研究加速基金(国際共同研究強化(B)) 少数派排斥の心理的メカニズムを解明し多文化共生の方策を考案するための国際共同研究

メンバー

現メンバー

教員
教授
博士後期課程
D2 / 日本学術振興会 特別研究員(DC2)
博士前期(修士)課程
学部生

元メンバー

研究・教育職ほか
京都文教大学 准教授
2008/10- 2009/3 博士研究員
奈良県立大学 准教授
奈良女子大学 准教授
慶應義塾大学 准教授
愛知学院大学 嘱託研究員
2006/4 - 2012/3
京都先端科学技術大学 准教授
三重大学 准教授
2013/4 - 2014/3 JSPS特別研究員(PD)
京都ノートルダム女子大学 専任講師
2008/4 - 2014/3
愛知学院大学 専任講師
2009/4 - 2015/3
2012/4 - 2016/9
東北学院大学 准教授
2014/4 - 2017/3 経済学研究科
2014/4 - 2020/3
企業・公務員ほか

ゲスト・メンバー

2019年度
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2009年度
2009年度