世の中を「うち」と「そと」に二分して、自分たちが立つ側の正当性を主張し、相手側を非難するという動きが世界中に広がり、その危険性が指摘されています。実は、こうした集団間の対立や分断は、現代社会に限られたことではなく、長い人類の歴史の中で、かたちを変えて繰り返されてきた問題であると言えます。私たちは、集団間に生じる偏見や対立の基礎にある心理過程のはたらきを明らかにするための研究を進めています。
研究テーマは多岐に渡りますが、集団によって人を区別する際に行われる情報の処理や記憶・判断などの認知過程と、それに影響を与える感情や動機づけの役割、そして分断を維持・加速させるようなコミュニケーションのはたらきを、主に調べています。
これらの研究で明らかになった心理的メカニズムを手がかりに、以下にあげるような現実の社会的問題の本質に迫ることを目指しています。
- 異なる文化を持つ人々と接する際に起こる排斥と受容
- 愛国心やナショナリズムと国際性
- 少数者に対する偏見の解消と共生
- イデオロギーに基づく対立
関連する研究助成:
- 2018〜2021年度 科学研究費(基盤研究(B)) 社会の分断をあおるコミュニケーションの発生・伝搬・共有過程
- 2022〜2025年度 科学研究費(基盤研究(B))イデオロギー的な道徳観が社会的分断を生起させる過程の解明