「善いこと」「悪いこと」の認知とは? | 名古屋大学情報学研究科 心理学講座 唐沢研究室

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「善いこと」「悪いこと」の認知とは?

偏見や分断、そして社会的排斥といった現象は、私たちの道徳意識とも深く関わっています。偏見をもって人に接するのは「間違った」ことであり、格差や差別のない社会が「公正」であるという考えは、多くの人々に共通しているはずです。にもかかわらず、これらの問題を解決するのが難しいのは、なぜでしょう?私たち人間の本性が、不公正あるいは不道徳にできているためでしょうか?

むしろ動機としては、「誤った考え」をもった人々を排除し、自分たちの社会を「正しい」方向へ守り導きたいという、ある種の正義感や道徳意識が、分断や排斥の原動力になっていると考えられるケースが、あちらこちらに見受けられます。そして人間は多くの場合、深く考え込むことをしなくても、善悪の判断を直観で行なえていることを、この分野の研究が次々に明らかにしています。私たちの研究室でも、このような直観的判断の性質について研究しています。特に注目しているのは、「望ましくない人物を見つけ出して社会から取り除く」という動機から、非難したり罰したりしたくなる過程です。

研究対象となる道徳意識の内容は、「他人の権利を犯してはならない」「約束は守らなくてはならない」といった、法や規則にも明示されるようなものから、「正しい働き方と何か」といった多様な価値観と関連しそうなものに至るまで、さまざまです。また、「責任」「意図」「権利」「義務」といった概念に関する、法や思想の世界における専門的理解と、私たち人間の直観的理解との間では、何が異なり、何が共通しているのかについても調べています。

関連する研究助成:2019〜2021年度 科学研究費(挑戦的研究(萌芽))勤勉に関する日本的倫理観とその心理的基礎:認知的・動機的・文化的諸過程の解明